乙音、甲音を吹くときに僕が考えていること。

乙音(おつおん)は、都山ですとロツレチハの低い音です。

甲音(かんおん)は乙音の1オクターブ上になる高い音のロツレチハのことです。

 

未経験者の方を導入するときには、

乙音は唇を緩めて吹きます。
甲音は唇を少し閉めて吹きます。

という言葉が簡単なので使います。

では、徐々に技術が上がっていくなかで、この認識のままでいいのか?

僕はよくないと考えます。
自身の成長によって、この感覚は変わっていくはずですし、変えてゆきたいです。
僕もこの感覚に振り回されてしまった失敗の時期があります。

ならば、初歩の段階からこのアプローチのままでいいのかというのも問題になります。
とくに、教則本のみで尺八を楽しんでいらっしゃる方の上達の妨げになるかもしれません。

上達したら必要のない感覚なのに、初歩のときにできるようになった成功の感覚は、問題に出会ったときの解決方として頼ってしまい、のちのちまで影響をあたえてしまいます。
三つ子の魂百まで、とはよく言ったものです。
どうせなら最初からその説明だけに頼らないようにしてはいいのではないでしょうか。という実験的感覚で説明したいと思います。

経験者の方も現在ご自身が抱えている問題解決の糸口になるかもしれませんので、お付き合いください。

 

 

僕がたとえとしてよく出すリコーダーの場合を想像してください。

リコーダーでも当然、低い音、そのオクターブ上の高い音がでます。

さて、そのとき、

そう、この部分は低い音を出すときに緩み、高い音を出すときに閉まりますか?

エッ(゚Д゚≡゚Д゚)マヂ?

いや、そんなことは起きません!
だってこの部分は完全に固定されていますから。
だから安定して一定の音がでるのです。

リコーダーは、高い音、低い音をだすときに、歌口に息を当てるノズルの部分は変化しません。
変化するのは何かというと、「息の強さ」だけです。
リコーダーの場合は、低い音は丁寧に吹かないときれいに響いてくれなくて、うっかり吹いたら高い音がでちゃう、という感じかもしれません。

 

さあ、尺八に置き換えます。

この部分ですね。

唇を緩めたり、閉めたりしなくても、尺八で乙音、甲音の吹き分けは可能なのです。
同じ大きさの息の出口にたいして、「息の強さ」が変わることが大事なのです。

これまで、ずーっとリコーダーに置き換えて説明してきました。
形状、構造をしっかり使うこと(ビンを吹いて音が出る吹き方ではないこと)、肺活量がなくても尺八は音がでること、当てる位置さえ気をつければ、簡単に音が出ること、唇はリコーダーのように歌口に向けて狙いをつけていること、噴出す形ではなく狙う形であること、を守っていれば、この乙音、甲音の問題はすぐに解決されます。

甲音を出すために「唇を閉める」のではなく、

「強い息」で唇の穴が広がってしまったり、歌口への狙いがはずれてしまわないように唇を支える力を足す。

 

といった考え方の方が、今後の上達のためにもよいのではないかと思っています。

穴の大きさが一定で固まっていれば、リコーダーと同じように、うっかり吹いたら高い音がでちゃう、という感覚で甲音がでます。
決して甲音は出にくいものではありませんし、肺活量がないと、出ないものではありません。
うっかり出てしまうのです。

乙音のハと甲音のロ、全音しか差がない音なのに、ハロー、ロハーとつなげて吹くたびに、唇が緩まったり閉まったりしていてはおかしいですよね。

乙音のハと甲音のロを一息の中で吹きます。
同じ穴の大きさで吹くように意識して、「増えた息の強さ」で唇が破綻、解けないようにするにはどれくらいの力がちょうどよいかをじっくりと探って見てください。

うまくいったら、乙のハ→甲のツ、甲のレ、・・・と音を跳躍させます。
また、甲のロ→乙のチ、乙のレ、・・・・と音を跳躍させてください。

できる人もいると思いますが、できない人も当然居ると思います。
最終的にすべての動作が、自然と行われるようになってきます。
自分の行為に反応して、自然と体が導かれてゆきます。
無理をせず、思い込まず、自分の体のうごきを探って見てください。
癖や固定観念との戦いなので、なかなか大変かもしれません。
鉄の意志による体のコントロールでがんばってください(*゚▽゚)ノ

 

さて、ここで重要になってくる「息の強さ」の変化です。

僕はこの感覚をずいぶん長い期間、間違って捕らえていました。
それは、甲音を吹くときに唇を閉める力を使って甲音を吹いていたからです。
初歩のときに、唇を閉めれば息が強くなって、甲音がでたからです。
なので、強く吹きたい、大きな音にしたい、というときに唇を閉めるという行為で実現できると思っていました。

以前の僕の頭の中では、「強く吹く」=「唇を強く締める」で実現できると考えていたのです。

しかし実際は違ったのです((((;゚Д゚))))
中学生、高校生だったころの自分に教えに言ってあげたいくらいです。
いやー、たとえ会いに行ったとしても、当時の僕は素直に話を聞くかな(゚ロ゚;)エェッ!?

同じようなつまずきや思い込みをしている方は多いかもしれません。

次回は、「強い息」を出すためのアプローチの仕方を説明します。
声帯の話とかに足を突っ込みますよー(゚ー゚*)

 

 

ではごきげんよう。

TOP