先日、「第21回新潟市ジュニア音楽教室スプリングコンサート」が開催されました。
新潟市が主催するジュニア音楽教室、オーケストラ、合唱、邦楽合奏の3教室による合同コンサートで、この春の恒例行事です。
今年度(来年度もかな)は、通常の練習場所が改修工事中のため、練習環境に多少の不便はありました。
それでも充分に恵まれた環境を整えてくださった事務局の皆さまには、感謝の気持ちでいっぱいです。
本番の演奏は良いものとなったと思います。
当日リハの方がよかったかなと言えばそうなのですが、本番とリハ別物ですから、本番のできとしては良い物だったと思います。
本番とリハの違いは、お客さまが会場にいるかどうか、つまり聴いている人がいるかどうかです。
人がたくさん入れば、ホールの環境も若干変わります。
そいういったことを想定して、本番に臨めるように準備することを課題にすればよいだけです。
年に2回もりゅーとぴあコンサートホールで本番を経験できるのはとてもすばらしいことですので、どんどん本番の経験を積んで一発勝負の本番でも、場所の違う本番でも力を存分に発揮できるようになってくれたらとおもいます。
スプリングコンサート本場に近づくにつれて練習の中で起きた変化は、音楽に内容が伴うように感じられたことです。
「間違えずに演奏すること」というのはとても重要に思えますが、そんなのどうでも良いのです。
どうでもいいというか、何の目的も目標もなく、ただ間違えない演奏ほどつまらなく、ひろがりのないものはありません。
演奏において「間違えないように演奏する」を目標にしてしまうと、それは自分のための演奏でしかありません。
全体で奏でる音楽になじむことできず、間違えない様にするというネガティブな感情は自信のない音につながります。
大事なのはその音楽で、何を表現するか、何を伝えたいか。だと僕は考えています。
そこで、今回の練習では「音楽にストーリーや景色を持たせる」ことをテーマに指導しました。
曲ごとのテーマやイメージを具体的に考え、それをどう表現するかを生徒たちと一緒に深めていきました。
季節、時間、天気、温度、周りの景色、様子、感情?風景?いろいろと考えてもらいました。
その結果、音に内容が生まれ、場面の切り替えや音色の統一がうまくいき、本番では素晴らしい演奏ができたと感じています。
ただし、この感覚は意識し続けないとすぐに失われてしまいます。
「間違えない様に演奏する」という考えは、簡単に自分を支配します。
わかりやすい正解ですし、わかりやすい基準です。でもそこが目標では全く拡がりも成長もみこめないでしょう。
ステージに立って演奏を聴いてもらうコンサートが活動の目的である以上、「聴いてくれる人のための演奏」を常に意識してほしいと思います。
それを続けていけば、それは「自分のため」にもなり音楽はぐるぐると回りながら螺旋階段のようにクオリティを高めていくでしょう。
逆に、「間違えないこと」だけを意識すると「自分のため」だけにとどまってしまい、音楽は広がらず、繋がらず、誰にも届かないものになってしまいます。
邦楽合奏で作っている音楽の中で、感じること、育つことがまだまだありますから、楽しみです。
そういった話からすれば、三教室による合同演奏は、今ここにある音楽、響きの中で自分はどうするか、なにをもとめているか、を考えられる最高の機会です。
周りには、普段接することのない楽器ばかり、それらが、表現して、うたって、奏でているわけです。
あの感じ良いな、真似してみよう!とか、自分の音では中々実感できない表現に気がついて自分の楽器に応用できるすごく良い時間だと僕は思うわけです。
異なる楽器と共に演奏することで、多様な音楽表現を学ぶ機会にもなります。
異なる楽器の音色や表現を感じ取り、それを自分の楽器で再現することを意識することで、より豊かな音楽を生み出せるはずです。
昨年にも増してよい合同演奏だったと思います。
合同演奏と言えば、かつては邦楽合奏が合同演奏に参加することはなく、邦楽の団員は歌での参加にとどまっていました。
当時の団員たちは、「自分たちの楽器で参加したい」という強い想いを僕に伝えてくれました。
しかし、それを実現するためには、邦楽合奏教室が合同演奏にふさわしい実力と技術を持たなければならず、また適した楽曲も必要でした。
そこからの歩みを振り返ると、本当に感慨深いものがあります。
僕の話に変わりますが、今回のスプリングコンサートは、僕にとって最後のスプリングコンサートでした。
今年7月の定期演奏会をもって、指揮者の役目を退くことになりました。
新潟市ジュニア邦楽合奏教室 指揮者交代のお知らせ
https://www.ryutopia.or.jp/news/37638/
本番ではそのことをあまり意識していなかったのですが、打ち上げの席で「これが最後のスプリングだったんだな」と思いながらビールを飲むと、しみじみとした気持ちになりました。
新潟市ジュニア邦楽合奏団のみなさん、お疲れ様でした。
良い演奏だっとおもいます。やはりジュニア邦楽合奏団は希望の光だなと思いました。
7月の定期演奏会まで走りきっていきましょう!
いつも応援してくださる保護者にみなさまにも感謝申し上げます。
舞台袖のスタッフやサポート、エキストラとしてお手伝いをしてくれてOB・OGのみなさんにも感謝です。
新潟市ジュニア音楽教室の中では歴史の浅い邦楽合奏団ですが、すこしずつ成熟した団に育ってきたかなと思います。
関係者みなさまに感謝申し上げます。
ご来場いただいた、お客さまみなさまにも感謝申し上げます。
今後も新潟市ジュニア音楽教室を応援してください。
さて、新潟市ジュニア邦楽合奏団は、7月に「第30回新潟市ジュニア邦楽合奏団定期演奏会」を開催します。
30回という節目の記念公演として、特別なプログラムを用意しています。
これまで新潟市ジュニア邦楽合奏団を卒団したOB・OGのみなさんぜひご協力ください!
ジュニア合唱団との共演もあります。
僕の新作も初演予定であり、指揮者として最後の定期演奏会でもあります。
たくさんの方に聴いていただきたいと心から願っています。
詳細は改めてお知らせいたしますので、どうぞお楽しみに。
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。