今日は、一音メリのアプローチ実践編ということでお話しします。
すべては練習です。
ただ、その練習の仕方が問題です。
順序だてて、必要な要素を、要素ごとに練習します。
そして、自分が思っているやり方で、やりたいことが実現できるかを冷静に分析することです。
不自然なやり方になっていないかを考えてください。
未経験の物事なのに、いきなり、
・自転車にのれ
・スケートしろ
・スキーしろ
・車を運転しろ
といわれて、簡単にやってしまう方はいますかね?
普通はいませんよ。
分からないなりに、ガッツや根性で乗り越える人もいるかもしれません。
転びながら、血を流しながら、車を壊して周囲にぶつかりながら、身につける。。。。
自分が苦労して、悩んで、身につくまで時間がかかった。だから価値がある。
だから、ほかの人たちも同じくらい苦労しなければ、身につかないものだ。なんてまで思ってしまう。
自転車だって、昔は、いきなりペダルをこいでみたり、補助輪をつけるとか、後ろをお父さんがもって走っている間に離すとか、いまじゃ絶対やらない方法が正しいステップのようになっていましたよね。
このやり方だと、メチャクチャ時間がかかる。
ペダルをつけないで(もともとペダルのないものとかで)しっかり前を見て蹴る力だけで走るとか、スタンドを立ててしっかり前を見てペダルを漕ぐ練習だけをするとか、そういった大事な要素を分けて身につける。
その中で、自然とこうなるな、こうなると危ないな、とか自分で考えながら、五感を生かして身につけてゆく方が圧倒的に身につきます。
いきなり自転車をこがせて、
「バランスとって」
「ペダル漕いで」
「前をみて」
とか、いきなり自転車をこいでいる人に大声で叫んでもできるわけないです。
いろんなことを、同時にやらなきゃいけないから、処理が間に合わない。
指導者は、大声で叫んでいる要素が大事なのだったら、その要素を取り出して練習する方法、身につける方法を考える必要があるのです。
複雑なマルチタスクをシンプルにして、ひとつづつ処理できるようになる。
「やっているうちになれる。怪我するくらいがちょうど良い。」
そんな、根性、努力、の精神論で解決する時代ではないです。
全部、順序立てて出来ることから始めて、実際に起こる現象を知ること、で効率よく身につくようになります。
効率良く学ぶことは、決して「楽」をすることではありません。
そこんとこ気をつけてください。
効率良く学び、努力すること、が大事です。
「楽」する努力、「楽」しむ努力です。
理不尽や不条理、無茶や非合理に打ち勝つ努力なんてしなくて良いんです。
努力する方向性を間違えています。
伝統楽器だから身につけるのには時間がかかる
修行のようなものだ
という言葉を純粋に信じないでください。
この言葉の裏には、「楽」して学べるものか、「楽」に手に入るもんじゃないぞ、という変なマウンティングが隠れている場合があります。
もちろん、時間がかかるもの、だって当然あります。
時間をかけて、じっくりと学んでいかなければ、体に染みついていかないもの。
自分の音楽感、生活様式とかけ離れているような、古典、江戸時代の音楽を可能な限り再現する、保持するということを目的とすれば、それは凄く道のりの果てしないことだと思います。
すべてが効率良く身につくことだとは言えません。
ですが、
趣味で楽器を手に取った人は、みなそこをめざしていますか?
人生をかけて尺八の伝統を守る人ではありませんから、時間をかけて修行のようにしなければ手に入らないものが前提ではありませんよね。
ただ音を出すこと、それすら修行だ、伝統だから難しいんだ、とか真顔でいう先生は、伝統という言葉を都合よく使って自分の技術不足、指導力不足を隠しています。
当然、練習する時間、慣れてゆく時間は必要です。
これは勘違いしないでください。
ただ、その練習内容、慣れてゆくための成功体験、これらは明確になっていなければ意味がありません。
霧のかかったモヤモヤとしたものの向こう側から、
どうせ、お前にはできないだろ、これは難しいもんなんだ。
本当の尺八とはそういうものだ、本物とはこういうものなんだ。
簡単に身についた技術なんかで、本物の音が出るわけがない!
と、マウンティングをかけてくる人を超高速で追い抜いて、楽しく尺八を吹いて、そんな人たちが目に入らないところまで行きましょう。
もう一本、一音メリに関する動画をあげます。
お楽しみに。
ではごきげんよう。
僕は生徒さんには早くうまくなって欲しい。
子どもたちや学生さんには当時の僕を早く追い抜いて欲しいと思っています。
実際、僕が中学生のころ、僕が大学生のころより、うまく吹けている生徒さんもいます。
同じ苦労をすることが正しいわけではないです。
僕とは違う努力や苦労をし、別の面に時間をかけて、僕とは違う結果を出す、違う場所にたどりつく、僕とは違う風景を見て欲しいと思っています。
当時の僕を追い抜いてください。
もちろん、今の僕は追い抜かれないように努力している。
時代が違えば、世代が違えば、努力の内容は変わる。
それが、技術を伝えて、そのあとの時代に残すことなのだと僕は思っています。
※今日のごはん写真
大学生のレッスンのときに、学生さんが準備してくれたお昼ごはんです。
大学生がバランスのよい食事をとるために手作りで作られた品が並ぶこのお弁当はゼロカロリーなんです。
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