さて、口の中を広くすることが尺八を吹くことにおいてどんな影響を与えているか、という話題で話しています。
スタートは、こちらの記事です。
それから、何回かに分けて書いてきました。
で、今回は僕が尺八を吹くときに、口の中を広くしている理由だったり、どんなことが起こっているかをかいていきたいと思います。
まず、「口の中が狭い」とどうか。
これね、僕は吹きにくく感じるんです。
音の変化をさせにくくて、演奏、表現でやりたいことができなかったり、息を我慢して吹いている感じが強くなるんです。
で、「口の中を広くする」と、それらが解消される訳です。
思ったように、のびのびと吹けるって感じです。
息を出し切ってすべてが音に変わっていくって感覚ですね。
で、狭い、広いって曖昧じゃないですか。
僕が狭いって感じている容積は、別のだれか、僕より体の小さい小学生くらいだったりにしてみたら、充分に広い、という容積になっていると思うんです。
まあ、骨格が成長して口の中の容積が変化するという時期は限られていると思いますが、小学生くらいだとしたら差はありますよね。
じゃあ、小さい子どもは尺八が吹けないか、というとそんなことない訳です。
みっちりとした良い音色を作ります。
音量は小さいかも知れませんが、音質、音色は同じところを目指して吹けますし、吹いてくれています。
ということは、広いとか狭いとかは絶対値ではないんですよね。
つまり、「口の中をひろくすればするほどいい音になる」という考えはちょっと違うかなと。
口の中を広くすることを目的にしてしまって、うまくいかない状態になっている事例がたまにあります。
そう、過ぎたるは及ばざるが如しです。
見ざる聞かざる言わざる及ばざるが如しなんです!
口の中を広くすること、ではなく、自分に合った、よい音でならせる、コントロールしやすくなる、口の中の広さを目指すことが大事になります。
これは、息とのバランスで生まれると思っています。
自分が使う息の量です。
僕の場合は、
大きな音にするためにたくさんの息を使う、
小さな音にするために息を少なくする、
息のスピードをコントロールする、
加速させる、ブレーキをかける、
といった動作がしやすい広さがあるなと感じています。
たくさんの息でも、少ない息でも、
加速にも、ブレーキにも、対応する口の広さ、ということですね。
そのときに応じて口の広さが頻繁に変わる訳ではないです。
例えば、甲乙で変化するとは思っていないです。
口の中が狭いと、乙音がバッチリ鳴らないから、広い状態にしたほうがいいな、とは思います。
しっかりとした息の流れ、量を作りながら、ブレーキをかけやすい体と思います。
ですが、甲音を吹くから、口の中を狭くする、とかは僕は考えていないですし、実際にもおきていないでしょう。
広い口の中のまま甲音も吹いていると思います。
これら、息の流れ、コントロールがしやすいといのが一つの理由になっています。
それに伴うのが、ぱんぱんモードを実感しやすいってのがあるかな。
口の中が広い、ぱんぱんモードになっている、ことで、息の流れがコントロールしやすい、作りやすい、と僕は思っています。
20年前のかつての僕が、唇を横に引いて、ぎゅーっと絞って吹いているときは、思いもしなかった感覚です。
横に引いた唇によって狭くなった口の中なのに、口の中は広い方が良い、と切り取った状態を実践しようと、ベロを下げたり、軟口蓋をあげるイメージを持ったり、無理矢理に口の中を広げようとしてもしんどいだけでした。
広い口の中になりやすい唇の閉じ方、を実践したらどんどん出来ることが増えて行きました。
理想的な吹奏状態を作る、きっかけ、スイッチとして、自分の演奏を安定させるよりどころになっているのは間違いないです。
もう一つの理由は、唇と拮抗するためです。
唇を閉じる力、ってのはやはりとても重要です。
そこと拮抗する力として、骨格の動きを使っています。
この話も、ブログで何度か書いております。
唇を閉じることだけが優先されると、息が充分に流れません。
息の量が少なくなったり、窮屈になったり。
しっかり閉じる、という意識をコントロールするのは非常に難しいです。
しっかり閉じるそのものを唇を動かす筋力で微調整しようとしている人いませんかね?
それはあまりオススメしません。
しっかり閉じる唇、口を開く(口の中を開く)あごの動作で、拮抗のとれた、バランスのとれた安定した状態をつくっています。
こういうのは、目を開く、といった動作でもうまくいったりします。
唇が閉じすぎて息の流れを遮ってしまうのを避けるために、口の中を開く、という動作を取り入れています。
このように分析すると、
口の中を広くすればするほどいい、わけじゃないと言うことがわかりますよね。
目的は、尺八をいい音で吹く、気持ちよく吹く、カッコよく吹く、バシッと、ビシッと吹く、といたことです。
それらを実現するための要素を最適化するために、口の中を広くする、という動作をとっています。
これもやはり、息のためなんです。
息の流れのため。
主役は息の流れ、ということがど真ん中にあるのを忘れてはいけません。
出したい音のためには、どんな息が必要か。
その息を実現するために、すべての動作が従属して動きます。
尺八を鳴らすために安定した息の流れを生む。
それが実現出来ていたら別に口の中を広くしなくても良いと思います。
そして、楽に充実した音色で、満足出来る吹き方をしているのであれば、それでいいんです。
「切り取られた状態」を闇雲に持込むのは、あまりオススメしません。
ご注意ください。
では、ごきげんよう。
※今日のごはん写真
中学生のころ、アルトリコーダーの試験ってのが音楽の授業でありました。
僕、リコーダーめっちゃ苦手でした。
全部閉じた音がしっかり鳴らないんですね。
少し大きな音にしようとしたら、裏返ってしまう。
クラスで一人だけレベルの違う音色で演奏している子がいましたね。
あれは正直驚きました。音楽のアルトリコーダーの試験であんなに衝撃を受けるなんておもいもしなかったです。
いまなら、アルトリコーダーをそんな音色で吹くことが出来ます。
演奏は出来ませんが、音を出すだけなら、音色を作るために必要な体の使い方がわかっている感じです。
中学生のころから尺八をやっていましたが、まあへったクソでしたね。
まあ、わかってなかったんですよね。
アルトリコーダーで良い音色を鳴らす。安定した低音を響かせる。
ぜひ試して見てください。
しっかりと、ゆっくりとした息をだす。
息にブレーキをかける、とってもよい練習になるとおもいますよ。
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