もうずいぶん前、15.6年くらい前の話になりますが、とあるコンサートでマイクを使って演奏することがありました。
そこで、担当の音響さんに言われたのが、タイトルの言葉です。
「綺麗な音ですねー、あんまり風のシューって音しないから、足しておきましょうか?」
って言われました。
僕からしたら
「え!!!???」
「やめてやめて、それを消すためにどれだけ練習してるのか、わからない?ちょっと、まって。」
心の中で叫んでおりまして。
「綺麗な音で演奏できるように、不必要な風の音を消す努力をしております。わざと足すことはしないでください。」
ってなんとか言った記憶があります。
なんで、音響さんはそんなことを言ったんだろうと、理由を考えるわけです。
つまり、これは「綺麗な音」よりも、「風の音が常になっている雑音混じりの音」の方が、いい音、良い音、上手な音だと思っていらっしゃるのだろうと。
これは、非常にまずい。と当時の僕は思いました。
ちゃんとした尺八の音を聴いたことない人が多すぎるんじゃない!?って。
んで、これは事実です。
興味を持って尺八の演奏を聴く機会って地方では本当にないんです。
もちろん、地方にも素晴らしい先生がいらっしゃいますが、一般の方がそういった地元三曲会などの演奏会にに、興味を持って足を運ぶのは難しいです。
一般の方が聴きたいとおもわせるコンサートがないということも問題でした。
(そのおかげで、僕はそういったコンサートをしようと新潟という地方での演奏活動をするぞと決意できた訳ですが、それはまた別のお話で。)
後は考えられる説は、「音響さんがプロではなかった説」
たぶんこれもあるかも知れないですね。本職ではなくて、ご厚意で音響をする方って結構いらっしゃいますから、そんな方だったら、そのような勘違いをするかもしれないと。
あとは、尺八は伝統の楽器だから、年配の人の方が上手くて当然、いい音を出していてい当然。
「若造が吹いているバシッとピッチのそろった力強い綺麗な音よりも、年配の方が吹いている枯れた味のある不安定な音の方が達人の音色だと勘違い説」
これもありそうですね。
そのころは、20代でそこそこ上手い尺八奏者なんて新潟にいませんから、僕みたいな存在は、まあ珍しいわけです。
現場になれている音響さんといえども、実際に和楽器のオペレートをすることはあまりないみたいで。
たまにあったとしても、その尺八の演奏が、なんというか、まあ、その、微妙な訳です。
そんな音ばっかりしか経験したことがなければ、スタンダートの基準、上手い下手の基準がおかしくなってしまいます。
ようやく微妙な音に納得していたところに、バシッと絶妙な音で尺八を吹く小僧があらわれたと。
価値観ねじれちゃうかもしれません。
伝統の古い楽器だから、この微妙な音こそが上手いはずだ、下手なわけがない。
この微妙な音が、上手い音、上手な音、尺八の音色だと、勘違いすることもあるかもしれません。
普段耳にしなくなる、普段聴かなくなる、という状態は、スタンダードが提示されにくくなる、ということでもあります。
スタンダードの提示があれば、それ以下か、それ以上か、それ以上なら、そこから判断して、若々しい音、みずみずしい音、熟した音、枯れた音、など音色そのものの好みの世界にも広がりがあります。
演奏の良い、悪い、を様々な要素で判断できるようになります。
思い込み、先入観念の、胡散臭い尺八の音色をぶち壊して、全力で演奏して説得力のある音色と音楽で、尺八がどんな音がするか、多くの人に聴いてもらいたいと活動する。
僕のとても大切なテーマの一つです。
ではごきげんよう。
あれ?もしかして、褒め言葉だったのかな。
音響さんのジョーク??
もし、そうだったとしたら、若いときの僕は真面目すぎて気がつかんかもしれん。
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