レッスンをしているとこんな言葉に出会います。
「楽譜を覚えないと吹けない。」
「次までに楽譜おぼえてきます。」
むう。
そうかなぁ。
曲ごとに楽譜を覚えてからじゃなきゃ、演奏できないんじゃ、大変すぎます。
自分は、曲を覚えてとか、フレーズを覚えて、という感覚はないですから、なかなか理解できない問題です。
楽譜を見ていたら、その通りに吹けばいいだけですから。
楽譜をみて可能な限り、パッと吹く。
初見の力をつけて欲しいなと思っています。
で、いろいろ考えて見たんです。
そうしたら、昔の自分のことを思い出しました。
僕、こんな風に見えて、実は小学生のころピアノを習っておりました。
そして、そのときはどうやって演奏していたかというと。
曲を覚えて演奏していました。
すみません、楽譜読んで演奏しよう、といっておきながら、幼き頃のわたくし、完全に、曲を覚えてピアノを演奏していました。
中学生のときに尺八を手にとって、これを口実に苦手だったピアノを習うのはやめました。
でも、尺八では、楽譜を覚えて吹く、ということは一切しなかったのです。
初見も強かったです。
だって、尺八の穴は5個しかなくて、単旋律。
孔には常に担当の指が決まっていて、オクターブだって複雑な指使いもなく、オクターブでも指使いが変われば、別の音の名前を当ててくれています。
あっとうてきに覚えることが少なくて、見たままを指に変換することが簡単だったのです。
で、ですね。
僕は気がついたんです。
何を覚えるか、が重要なのではないかと。
僕がピアノを弾くときに止まっていた理由は、その音の鍵盤がどこにあるかわからなかった、というのがあります。
もちろん、鍵盤の位置すべてを覚えるというのでもよかったかもしれないし、音感を手掛かりに、この辺となんとなく感じているのでもよかったのかもしれない。
もう少し、続けていたら、曲を覚えるのではなくて、楽器、音感というものを手掛かりに、楽譜をよみながら弾くという状況にすすめたかもしれない。
などと、思ったりもするわけです。
知っている曲、童謡とかを吹いているときに、指を覚えようとか、リズムを覚えようとか、知っているメロディは尺八の楽譜に置き換えるとこうなるのか、なるほど!と思わずになんとなく吹いてしまう人、多いと思います。
そのとき、実は、知っているメロディの次の音はだいたいこのくらいの音程とおもえるから、譜面を読まずに、指をうごかして、だいたい当たる、みたいな出来事がおこるんです。
知っている曲だと次の音への音感もなんとなく知っている、ってことも大きいことがわかります。
ということは、覚えるものを変えると、なおさら楽譜に強くなりそうな気がしませんか?
初見が強くなりそうな気がしませんか?
譜面が苦手、初見が弱い、という方、ぜひ覚えるものを変えましょう。
曲を覚えるのではなく、楽器を、運指を、しっかり覚えましょう。
そして、そこに「音感」というものがあるといいです。
音感は、その音が高い、低い、どのくらい高いか、どのくらい低いか、をわかる感覚です。
チューナーのような正確なものでなくて大丈夫です。
2つの音を比べたときに、どっちが高いか低いかわかるくらいでいいです。
どれくらい高いかわかるようになるともっといいです。
1つの音がわかるれば、もう1つの音の音もわかるようになったら最高です。
尺八は、おぼえることが圧倒的に少ないと思います。
ピアノとくらべても当然。
箏もピアノと比べれば、13本の絃の位置関係、幅、それをしっかり覚えれば、必死になって曲を覚えないと演奏できないってことは無いと思います。
尺八はその箏とくらべれば、もっと簡単だと思います。
曲を覚える。
という面倒なことをせずに、べつのものを覚えましょう。
音の名前、運指、音感
世の中にある曲の数より少ないです。
圧倒的にすくないです。
こちらをしっかり覚えれば、楽譜も見てすぐに演奏できますし、きっと耳コピだってできるようになります。
覚えなきゃ吹けない。
覚えるものを間違えたら、また覚えなきゃ吹けません。
何を覚えますか?
何を覚えると効率がよいでしょう?
答えは簡単でした。
覚えるものを間違えないようにしましょう。
では、ごきげんよう。
※今日のごはん写真
レンコンのはさみ揚げですね。レンコンの穴は挟んだもののカロリーをゼロにしてしまうという恐ろしい能力があります。
今夜もまた、レンコンに挟まれてしまいカロリーがゼロになってしまいました。
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