音程を修正するときに「メリ」「カリ」という動作が思いつく人がいるかもしれません。
「メリ吹きだから音程が低い、もっとカッて吹きなさい。」とか言われた人も多いかもしれません。
ですが、
「メリ」「カリ」は基本状態の音程をそろえるための都合の良い動作ではない。と僕は考えています。
基本の吹奏状態を「メリ吹き」とか「カリ吹き」とか決めつけるのは楽です。
個別の問題解決を真剣に考えることが減るので。
いったら、まあ怠慢です。手抜き。
その状態を「メリ」「カリ」で修正するのは好ましくありません。
当て方、構え方、そのものを修正します。
つまり、基本状態、ニュートラルポジションをつくりなおします。
メリ、カリはあくまで、ニュートラルポジションから行う動作でしかないからです。
昨日のブログでも書きましたが、音程の問題を解決する方法は「カリ」ではないのです。
もし詳しい理由が気になったら、昨日のブログをお読みください。
しかしながら、勘違いしている人が多くいるのも現実だと思います。
・・・だから苦労して吹いている人が多くなってしまっているんじゃないかとも思います。
これは、尺八の指導をする立場の人でも勘違いしてしまうかもしれません。
初心者の方に向けて、都合良く使っているとかなり危ないと思います。
もっとあぶないのは、少し尺八のことを勉強された糸方の先生が初心者の尺八の人に言うときですね。
民謡とかだと、歌の先生とかももしかしたら言っちゃってるかもしれません。
音程が低いと気軽に「もっと音程あげて!」とか言ったり、もっとひどいのは、もっと「カリで吹いて」と、吹き方まで指示する糸方の大先生。。。。
あれ、僕地雷ふんでる??
ま、いいか。
そういう中途半端な知識は邪魔です。
尺八の先生を差し置いて演奏の仕方まで口出ししない方がいいです。
そして、誰にその指示をしているかも冷静に考えた方がいいです。
よほどの場合は、尺八をはじめて1年くらいの人に音程のことを言うのは酷です。
そして、知識としてしっている「メリ」「カリ」は、音程をそろえる技術じゃないんです。
ちゃんと認識していらっしゃる方もいらっしゃいますが、中途半端な方ほどこういった言葉を使いたがります。
「メリ」「カリ」は、あくまでも変化させる動作なんですね。
ニュートラルな吹奏状態に対して。
お箏に例えると、「押し手」「ひきいろ」などの音程変化の技術なんですよ。
でも音程がおかしいんだから直して欲しい!気持ちはわかりますが。
さて、
初心者の方に音程が低いから「カリで吹いて」という言葉が、
どれだけおかしなことをいっているかということを説明していきます。
調弦が狂った箏で演奏している人に、
調弦が狂った箏のままで、音程を合わせるためにつねに、押手をしながら、ひきいろをしながら、音程を合わせて弾いて!
と言っているものなんです。
調弦が狂っている、そんな状態の箏を弾いている人を見たら僕は、
「ちゃんと調弦とろうね」
っていいます。
「押し手で音程ちゃんととって、絃をひっぱって音程下げて、演奏して!」
って絶対にいいませんよ。
お箏が調弦をしっかり合わせることがとても大事なように。
尺八の音程は、メリ、カリ、で合わせるモノではないんです。
基本の吹奏状態の変化、土台の成長、が必要なんです。
問題解決の方法が全く違うと言うことがご理解いただけたでしょうか?
初心者の方へ、無責任に音程のことをいうのは、本当に気をつけた方が良いと思います。
何が原因か。どう解決したら良いのか、がわからなければなおさらです。
だって、合奏などをしていて、初心者の方が音程が悪いことは事実として、その場にいる人はみなわかっているんですから。
音程が悪い、なんて指摘するのは指導でも何でもないのです。
一歩間違えると、パワハラ、モラハラの時代です。。。。
箏の場合は、耳で音をあわせながら、チューナーを見て、調弦を作る訓練をする。
尺八の場合は、安定した吹奏状態を作る訓練をする。ということが大きな解決策なんです。
尺八を演奏している方が、他の楽器と合奏することを考えているとしたら、基本吹奏状態での音程を安定させる技術を身につけることを考えなければいけません。
基本的な吹奏状態の基準、水準までできる限り早く達成したい!
さて、ここまで、気分を害されずに読まれた方は、素晴らしいお箏の弾き手だと思います。
もしくは、それに悩まされた尺八関係者。
あとは、全く関係ない方かな。
だからこそ、尺八を吹く側、尺八を指導するモノも、「メリ」「カリ」で、目先の音程を合わせることに夢中になってはいけない。
あくまでも、基本吹奏状態の補助です。
補助の補助として音程を微調整するモノ。
練習することは、基本吹奏状態をぐっと引き上げることです。
土台をしっかりと作ることです。
練習する内容を見誤るとかなり危険な状態になります。
僕は基本的に基本吹奏状態の音程修正の際には、メリ、カリの言葉で修正するのではなく、当て方、構え方の修正で行います。
いまの状態を基準にして、吹き方、当て方、角度を変えて、音程を修正するのではなく、
自分の成長や変化に合わせて、楽器の当てる位置をつねに見直す。
これが僕が大事にしているとっても重要な考え方です。
自分の成長や変化を、そのまま効率良く音に変換できる、場所に常に楽器を当て直します。
その日の調子によっても微調整します。
決して、メリ、カリ、という思考ではありません。
当て方、構え方の修正。
ニュートラルポジションをしっかり作ることを考えます。
吹きにくい場所で頑張る必要はないのです。
ではごきげんよう。
※今日のごはん写真
初心者は吹き方も安定していません。
だから音程が安定しないのは当然です。
吹き方が安定するように練習しています。
そして、音程の安定を目指して練習しています。
安定しない吹き方をさらに乱すような、変な横やりは、邪魔以外でしかありません。
真面目な方ほど、先生と呼ばれる立場の人からの言葉を真に受けます。
気軽な言葉でそのように対応してくれる人はとても上手な人たちです。
そんな環境にいたとしたら、その環境と、その対応をしてくれた人の腕を技術をしっかりと評価してあげてください。
そんな吹き手はめったにいませんよ。
気軽な言葉で、迷い、悩んでしまう人の方が圧倒的におおいです。
成長を阻害し、足を引っ張り、順調な上達を邪魔していないか、だれもが気をつけておかねばいけないことだと思います。
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