昨日のブログ記事とつながっている話題です。
もし興味がわいたら、ぜひこちらの記事も読んでみてください。
なんだか、鯨岡の言っていることって、昔から言われていること違う!
だれそれがいっていること違う!
私が習った話と違う!
これはちがう、絶対にウソだ!!
という思われた方もいらっしゃると思います。
まず、僕の前提として
尺八の吹奏メソッドはまだ確立していない
と考えています。
そりゃそうでしょ、確立、完成、決定版、なんて、つまり、終わりですからね。
でも、不完全な状態がわかっているのに、改善すること、よりよくしていくことを忘れてしまっては、破滅的な終わりです。
確立していないから、改善していかなきゃいけない理由は、現状として技術が技術として、ちゃんと伝わっていないからです。
初心者導入の問題点です。
音を出すのが難しい、大変。
ということがずっと解消されない。
歴史のある、伝統楽器なのに。
解決するのは、
時間、本人の努力、根性
といった、全く別のものに頼り切ってしまいます。
だから、肺活量とか、腹式呼吸とか、はっきりいえば、どうでも良いこと。
おまけみたいなものに変な期待をもってしまいます。
また、尺八が尺八であるからこそ、改善すること、改良することの足を引っ張ります。
昔からの理論に疑いを持つことを否定します。
自分の努力、練習不足が原因であることを肯定します。
なにが、そういった面を助長しているか・・・。
尺八にまとわりつく、禅、修行、精神鍛錬、といったスピリチュアルな面です。
もう、それはそれでいいです。
あ、否定はしていません。
それが、自己否定の原因になるのは不健康じゃないですかという考えです。
禅とも、修行とも、精神鍛錬と思っても「自分の音が出ていなかったら」意味がないような気がするんですよね。
そして僕は、尺八を楽しみとして、趣味として、音楽として楽器として楽しむことを望んでいます。
だからこそ、音が出ないこと、を都合良く肯定したくないんです。
技術が技術として、再現可能な伝え方、わかりやすい伝え方として、つねに更新していかなければ、終わりがやってきます。
もっと言えば、初心者導入方法が改善、改良していかなければ、未来などありません。
尺八が尺八だから、としてなんとなく許されていたこと、そんなものに頼っているから、尺八っていま、こんな現状なんです。
もちろん、昔から言われている理論、よく言われている理論で上手に演奏する方も多くいらっしゃいます。
ぱっと、うまくいった方もいるでしょう。
一方で、めちゃくちゃ訓練して出来るようになった人もいるでしょう。
その言葉を信じて、努力の途中という人だっていると思います。
だからこそ、違うんじゃないかな、とか、別のやり方もあるよ、と言う人がいないといけないと思っています。
吹奏理論の説明には、合う合わない、があります。
その言葉で体がどう動くか、が一番の問題です。
同じ言葉でも、どのような動作として現れるか、が人によって違うからです。
実感や感じ方、捉え方が大きく違う場合が多々あります。
昔から言われているから、よく言われているから、という理由だけで、盲目的になってはいけません。
もう一つは、実体験です。
そのなかにおける、成功体験や失敗体験です。
自分がそれで上手く出来るようになった。または失敗したという経験はとても強力です。
思考を強烈に支配します。
自分の成功体験や失敗体験ですから、自分そのものと思い込んだり、自分の努力そのものと思い込んだりもします。
自分を成功体験に導いてくれた理論を疑うことが、自分を疑うことになってしまうと感じる人もいます。
努力したほど、苦労したほど、その影響力はでかくなります。
大切なモノを汚してしまうような。
大事なモノを壊してしまうような。
そんな怖さや、不安を抱えてしまうから、なかなか踏み切れません。
ですが、やはり合う、合わない、があります。
教えている人がご自身と同じだけの時間をかけることができるかわかりません。
自分が上手くなった、自分が出来るようになった理論だからと、誰にも彼にも当てはまるとは限りません。
こういった思考はサンクコスト効果とも言えると思います。
サンクコスト効果は、行動経済学の言葉です。
説明すると、
・・・サンクコストとは、すでに支出され、どのような意思決定をしても回収できない費用のことを言います。
合理的な判断をすれば、すぐに事業から撤退するべきなのに、既に多くの費用(サンクコスト)を投下しているために、無駄に出来ない、という思いから撤退という判断をとることができない。
こんな状況、経済だけでなくとも思い当たりませんか?
それが、尺八にも当てはまっているわけです。
悪循環が起きてしまう原因の多くがサンクコスト効果で説明出来てしまいそうです。
尺八における現在の状況も、サンクコスト効果のおかげで、泥沼、取り返しがつかなくなっているように思えます。
いろいろなことに当てはまるのですが、今日は練習、理論などのことが話題ですから、サンクコスト効果を当てはめると。
・苦労して練習してきた。
・いま、苦労して取り組んでいる。
・昔から言われているからこれまでもそれで上手くなった人がいる。
・自分の先生がいっていたことを否定してしまうんじゃないか。。。
・伝統、歴史が、、、、
と、冷静になれば、どうでもいいことばかりです。
本来の目的を見誤っています。
それを惜しんでしまって、本来の目的のために思考の転換が出来ないのは、とてももったいないことです。
今苦労しているから苦労したままでいたい。
間違いない、と思いたい、信じたい。
教えてくれた人、育ててくれた人を裏切った気持ちになる。
取り組み方を切り替えてパッと出来るようになったら、それまでの時間や努力が無駄に思える。
いやいや、出来たという成果を喜びましょう。
簡単にできる人が増えることを喜びましょう。
これからもずっとできないままでいるかもしれなかった(多分確実に出来ないままです。)ことが、出来るようになって、世界が一気に広がるし、その先に進める時間も手に入ります。
本当によく考えた方が良いですよ。
人間って合理的な生き物じゃないんだなってことがとっても良くわかります。
行動経済学っておもしろいですよね。
ではごきげんよう。
※今日のごはん写真
上手くなった人は、もう上手くなってしまったから、もうどうでも良い人もいます。
短期で成果を出さなくてはいけない、という現状におかれる方も少ないです。
たとえ、そんな現状にあっても、成果が出なくても、すべてを許してくれる救世主のような言葉があります。
「尺八は音を出すだけでも難しいから」
もう、僕は絶対に言いたくない言葉です。
これ、敗北宣言だと思っています。
だからこそ、悔しい思いをします。
もう、歯を食いしばって、詰めが食い込むくらいめちゃくちゃ手をぐーにします。
んで、どうしたらいいか、何か方法はないか、を常に考えます。
ずーっと考えています。
「どうやったらわかりやすく、尺八を吹くこと、技術をつたえられるか」を、世界中で僕が一番考えていた日が一日くらいはあるんじゃないかなと思います。
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