しっかりと音を出す、そこから音色の引き出し、表現を作ってゆく、というお話をしておりました。
音を出すことの土台をもっと突き詰めようと。
その土台の上に、表現を乗せることが大事なんだと。
今日の記事は僕の価値観バリバリ前面に押し出された記事になります。
もしかすると、いやな気分になる可能性もあります。
それでも、読みたい!しりたい!という方はお付き合いください。
では、行ってみましょう!
さてさて、
偉そうに音色を語る鯨岡さん、あなたの演奏はどうなのよ?
さまざまな音色の変化と魅力ある演奏には聞こえませんよ。
という声が聞こえてきそうです。
まあ、そんな話をいっていればきりがございませんねぇ。
僕の考えとしてあるのは、一つ僕の基準となる音があって、そこからの変化ですね。
だから僕の基準として鳴っている音が好みじゃなかったら、そこでたぶん厳しいです。
つまりもう、好みの世界です。
お気に入りの歌手の声と同じです。
なので、そこに向けて僕は別にがんばりません。
尺八は個性的で、どうのこうのと語る人ほど、好みがあることを無視した会話をしているような気がします。
歌手の歌声に関しては、好み、好き嫌いがあって当然だし、人の声には違いがあって当然と思っているのに、
個性的であってほしい尺八にはその好みがなく、尺八であるなら○○であるべきと論じているわけです。
あんなのは尺八じゃない。
音がでかいだけでそんなものは下品だ。
フルートでやればいい。
人の声に関して、同じようなことを言うのは気が引けるはずですよ。
でも、尺八となると、結構平気でひどいことを言いますよね。
人それぞれ違う、個性的な音を出している楽器なのに。
個性がないなんていうのも、個性があることに気がつかない自分の感度の低さを嘆いたほうがいいです。
というわけで、僕は、尺八の音色を、人の個性、人の声、と例えました。
なので、僕は僕の音をびしっと決めていれば、それでいいと思っています。
そして、その声を大きくしたり、小さくしたり、張りを与えたり、細々としてみたりと変化をさせる。
自分の声のように扱えるところを目指します。
基準となるものがコロコロ変わるとはあまり思っていません。
もちろん、極端な変化を使うこともありますが、それを例えば一つの演奏の中で使うことってあまりないですね。
そして、僕が一つ目指しているところもあります。
その基準となる音色を均一にすること。
わかりやすくいうと、
高音、低音、でもその音質が一直前上にある。
音量の変化と音質の変化が分離すること。
このことをすごく考えています。
こうすることによって、変化を表現とすることができる、と僕は考えています。
つまり、意図しない音色の変化、音質の変化は、表現とは呼ばない、ということです。
ある音を吹いたら、必ず小さくなる。
あるフレーズになったら、必ず音がでこぼこになる。
音楽を無視して。
これって、表現じゃないですよ。
もっとわかりやすく言うと、
メリ音は小さくて当然とか、メリを伴うピ(都山)などは音量が小さくなって当然、みたいな。
もちろん、その音色が必要なときはそれです。
でも、それが必要ないとき、不自然に聞こえるときには、その当然は不自然なんですね。
言ってしまえば、壊れた楽器です。
壊れたステレオです。
いやいや、不安定で不均一でバラバラで、制限がかかるもの、それが尺八です。
という考えの人もいるでしょう。
それがその人の価値観。
なるほど、そういう人もいて当然です。
そのうえで、
僕は違う。と考えている。
それだけです。
機械みたいな均一な音色。
まずは、自動化、無意識かによって均一な音色になること。
そこに、演奏すること、表現することが乗っかって、自分の演奏になります。
一定で、均一だからこそ、狙いが生まれます。
さて、機械と変わらない演奏、できてますか?
そこまでたどり着いてから、その先の話ができます。
その先への挑戦権は、簡単には得られないなかなか難しいところにありますよ。
尺八は、
自由自在に表現できる楽器を自分自身の動作で作ること、
そして操って演奏すること、
が楽しめる楽器だと僕は思っています。
音がでたり、出なかったり、音程が不安定に変化する、音色が急に変わる楽器、も楽しいと思います。
僕は、それらがすべて、偶発的なモノ、楽器の制限によるものではなく、自分の演出で、意図で、自分のコントロール下で行うものだと思っています。
だからこそ、偶発的におこる、意図しない音、が、なんとも言えない魅力を感じると思っています。
そして、その上で、偶発的な、意図しない音が放つ魅力さえも、自分のコントロールで再現できるようにしたいと思っています。
では、ごきげんよう。
※今日のごはん写真
なので、僕は、機械のような演奏、行ってしまえば、均質で一定の演奏を目指すことがとても大事だと思っています。
でもね、結構な場合、そういった演奏を揶揄する声が出てきます。
つまらない、個性がない、とか。
でも、その先に確実にありますよ。
その先の世界。
その先に挑もうとしない人たちの声に迷う必要なんてないです。
機械のような演奏もできない人の声に心惑わされる必要なんてないです。
僕はそう思います。
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