尺八の構造が教えてくれる楽器が向かう1つの方向性、わかっているのに大胆な変更が出来ないジレンマがあった。

尺八の構造が、尺八を吹くときの1つのよりどころを教えてくれる、というお話をしています。

自分の都合で吹くか、尺八の都合で吹くか。

尺八の都合で吹くことを考えると、無限の試行から離脱できる、ということです。
自分の都合を無理矢理押しつけて、苦労する状態を抜け出して、尺八は難しいと論じるステージを全く別のステージに変えます。

 

どうやって音を出すか、いい音が出た、いい音が出たら気持ちよい、といった音が出ることそのものを楽しむのもありだと思います。

音が出るかどうかの難しさを楽しんでいる、、、、といえば聞こえはいいですが、苦労しているとしたら抜け出したいですよね。

 

そこから離脱して、

尺八を自由自在に扱えることを楽しむ。

そして、尺八で音楽をすることの難しさを楽しむ。

まあとにかく、楽器として扱う段階になったら、尺八は本当に楽しいです。

 

さて、尺八の構造のなかで、僕が注目しているのは、歌口の外側に大胆にカットされた部分です。

舌面です。

 

そこを1つのよりどころとして尺八の都合を考えると吹奏にも、楽器にも1つの方向性を示してくれると考えています。

 

ちょっと既製品の舌面を見てみましょうか。

左から、悠、星嵐、AireedXです。

見てすぐわかる違いは、舌面の面積の違いです。
角度の違いによって、生まれるものです。

舌面の広さを順に並べると

悠<AireedX<星嵐

となります。

 

悠は、もう随分前に発売されています。
元になった尺八のモデルは、昭和頃に作られた名器と言われる尺八を元にしているのでしょう。

かつては、悠のように、舌面が狭い、舌面の角度が緩い尺八が多いという印象です。
あくまで、僕の印象なので事実と違ったらごめんなさい。


(写真は、泉州尺八工房のタイプAです。現在の尺八です。)

昭和以前は、悠のように、舌面が狭く、歌口上部の角度がなく、舌面の角度が緩い楽器が多い中で、

舌面を有効に活用できた人、もしくは、筒として吹く吹き方を極めた人が、上手いプレイヤーだったのではないかと僕は仮設を立てています。
舌面の活用、筒としての吹き方、これは違うアプローチです。

 

筒として吹く技術を身につけると、舌面を活用することを必要としません。

尺八の形状とかはもうどうでも良くて、本人の研究、探求、努力、根性で辿り着いたそれぞれの形になると思います。

 

舌面を活用すると、尺八の構造を利用した吹き方を身につけるようになります。

楽器の形状を利用しているわけですから、いろいろなことが効率的に行われていきます。

そうなると、楽器の変化としての可能性は、舌面が活用しやすい形に変化する、ということです。

 

つまり、舌面が活用しやすい角度に変化していく。
ある程度、広くなっていくのです。

 

悠は、筒のように吹いても、舌面を活用して吹いても、どちらでもそこそこ吹けます。
なので、良い楽器として元々のモデルも信頼されて評価が高かったのでしょう。

 

楽器としての構造を判断すると、歌口の将来的な変化は、かなり早い段階から、製管師のみなさんは予測がついていたのではないかと思います。

筒としての吹き方の理論や技術向上が中心となっていたら、舌面の変化は受け入れ難い状況です。
なので、多くの製管師は、舌面の変化はとても緩やかに行ってきたのではないかと思います。

これは、既存ユーザーの要望に応えることを優先していると起こる現象です。
既存ユーザーによって得られる利益を手放すことに怖さを感じているとこんな現象になります。

いわゆるガラケーです。

そこにスマホが現れます。
スマホが登場した当時は、ひどい言われようでした。

でも、いまでは、スマホが当たり前です。
数年前にスマホのことを笑っていた人達はその事実をすっかり忘れています。

また、ガラケーにこだわりすぎていたメーカーは、わりと大変な状況になっています。

 

尺八も同じです。

 

いまでは、舌面の角度、広さは、悠とくらべても圧倒的に変化しています。

尺八を楽器として分析して、角度の研究などをしていた泉州尺八工房はもう20年以上も前から現在のデザインが基本になっています。

当時は、泉州尺八工房の尺八にもいろいろな言葉がかけられたと思います。
新しい変化、大きな変化には、人は不安を覚えますから、否定したくなるんでしょうね。

業界を支えるのが既存ユーザー、古参、マニアですが、潰すのだって既存ユーザー、古参、マニアです。

既存ユーザーってめちゃくちゃ難しい存在だと思います。
もう、みんなわかっているのに、見えない何に気を遣っているんでしょうね。
存在しないのに何に怯えているんでしょうね。

・・・しらんけど。
ま、これだけで、一週間はブログがかけそうですが、ここまでにします。

 

話を戻して、、、

 

悠の舌面、AireedXの舌面の差にはそういった理由があると僕は思っています。

ま、個人的な思い込みなんで、そこはよろしくお願いしますね。

 

舌面を利用する吹き方が理解出来る、体感できる、楽だとわかると、それをよりどころとすることが出来るようになります。

その結果、悠のような狭い舌面の楽器でも、効率的に尺八の構造を使って演奏が出来ます。

 

最近作られた星嵐、舌面がめっちゃ広いです。

じゃあ、広ければ広いほどいいかというと、僕はちがうかもしれないな、、、と思っています。

 

星嵐が悠よりも音が出しやすく感じるのは、構造を使って吹く、ことを実践しやすいからだと考えています。

 

 

尺八を吹く動作のよりどころを何とするか、

尺八の音の出る理由をどのように考えるか、

 

たとえ、仮説だとしても、闇雲な試行に支配された状態よりも、圧倒的に良い状態に向かう検証が進みます。

 

 

尺八の導入方法だってガラッと変わるでしょう。

いつまでも、軽く口を横に引いてといった口を作った状態に、尺八を合わせる、といったアプローチのままでいいとは思えません。
それで出来る人もいればそれでいいです。

それは、なんとなく筒を吹く吹き方にリードされていきます。

なので、吹きにくいと感じたり、効率が悪かったりします。

人と尺八と分離した状態を基準にしているとその発想から抜け出せません。
口の形をいろいろ工夫すれば、吹き方をなんとかすれば音が出る、といった考えは、不自然な口元を生み出す原因になります。

 

人と尺八が一体化して、尺八はようやく楽器になります。

下唇と尺八が一体化すること。

 

音が出にくくなるときは、下唇が尺八から離れる、動く、といった状況のときに起きているように見えます。

 

そう、僕達が尺八になっていくのです。

 

 

私達は尺八を吹くのではありません。

 

私達は尺八になるんです。

 

 

ではごきげんよう。

 

 

 

※今日のごはん写真

冗談のような書き方していますが、結構マジです。

吹き方でなんとかするのではなく、尺八になる。
自分の体、下唇、あごと一体化させて、尺八が音の出る状態にする。

そうすれば、口を閉じるだけで音が出る。

尺八を吹く、と考えている人にはあまり生まれない発想かも知れません。

こういったアプローチで急に成長、変化する人は多くいます。

尺八の都合に合わせた方が、楽だと言うことに気づいて欲しいです。

 

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