世代が変るとねじれてしまうことが起こる。素直に次世代が追い越してゆくことを喜べばいい。

今日も先日見たドキュメンタリー番組の中で、津軽三味線の名人、初代高橋竹山先生が語られていた、

「喰っていくために、必死で弾いた」

という言葉から、僕の中で、モヤモヤしていたことがはじけて解決した話をを書きます。

 

初代高橋竹山先生は門付けで「喰ってゆくために必死で弾いた」とおっしゃっていました。
演奏してお金をもらうために必要なこと、必要な要素を考えたときに、本質が見えてくるような気がします。

昭和の初めのころ、津軽三味線が、芸術だから、文化だから、という理由で、聴衆がお金を払うのではなく、楽しいと思うから、凄いと思うから、おおお!って思うから、お金を払ったのだと思います。
そんなに多くの人たちが裕福だったとも思えません、もちろん、裕福そうなところに目をつけて、ということもあったかもしれません。

しかも、コンサートとかではなく、門付けですから。無理矢理聴かせるようなもんです。

「喰っていくために、弾いた」というのならば、聴衆を無視して成立する訳なんかありません。
そして、大勢の津軽三味線奏者があつまったら、その中で目立つように、差がつくように、かっこいい、すごいって思われるように、技巧や技量や音量を競って、「喰うために、必死で弾いた」んだと想像したくなります。

 

それから時が経って、現在の津軽三味線を、芸術だから、文化だから、といってお金を払う価値があると思って、お金を払っている人がいらっしゃるかもしれません。
(最悪の場合、こういう方は、文化や芸術に理解のある自分でありたいという自己実現にお金を払っていることすらあります。ま、お金になればなんでもいいですけど。見透かされます。)

でも、もしかするとそれはごくごくわずかで、津軽三味線の芸のルーツ、成長したルーツが、

聴衆を意識した「喰っていくために、必死で弾いた」演奏。

これまでの名人たちが競い合うように「喰っていくために、必死で弾いた」技量の、技巧、即興、の磨きあい。

があるから、現在でも、今でも人の心に響いて、おおお!ってなるような、聴きたい、お金を払いたい、と思う人が、聴衆に届くのだと思います。
津軽三味線の人気が高いことは、誰の目にもはっきりとわかります。

 

で、今後はどうなっていくのかなって勝手に想像したら、その次の世代、その次の世代が、変にねじれてしまって、歴史的価値、芸術的価値、文化的価値とか、アカデミックなものが欲しくなってしまって、手に入れたくなってしまって、津軽三味線の本質から離れないようにすることが今後の肝なのかなって、全く外の世界、そして、それとは違うルーツにあって、滅びかけている業界を見ているものとして、そう思います。

おそらく、技巧に走ること、技術だけに意識が行くこと、などに対して継承をならす方もいらっしゃると思います。
それって、なんでそんなこと言うんでしょうね。

一面としては理にかなっているかと思います。民謡の伴奏を即興で出来ないのは、津軽三味線の成り立ちからしたら憂いかもしれません。
でも、「喰うために必死で弾く」ということにおいて、技術や技巧が成長することって、ダメなことなんでしょうかね。

民謡の伴奏を即興でしても、一般の人が喜ばない、おおお!っておもわない、お金を払いたいって思わないってなっていたら?

「喰うために」何をしたら良いか考えた結果の演奏の変化、時代の変化に合わせたものだとしたら。

「それは違う、それ偽物だ。」と言いたくなる気持ちがなんとなく分かってしまいます。

あれはだめだ、これはダメだと、いう方には、「未知」への恐怖がそこにあるのではないかと思ったりもします。

 

さて、なぜ、勝手に津軽三味線のことを、高橋竹山先生の言葉「喰ってくために必死で弾いた」から生まれた僕の想像を長々と書いたのかというと、尺八のことを考えたいからです。

僕が「尺八で喰っていくために必死で吹く」ためには、なにを考えなければいけないかを明確にするためです。

そして、「尺八で喰っていかなくてもいいけど必死で吹く」ための人とは、話は絶対にあわないし、僕の価値感とは全く違うと思います。

同じようにひとまとめにされる日本の楽器、伝統、文化と言われるものですが、成立した時代、ルーツ、ブームになった理由などでしっかり分析しないと意味はまったくありません。
伝統を継承する、という中に、こういった思考はあった方がいいでしょう。僕はそう思います。

人気の理由はなにか、人気がない理由はなにか、をちゃんと考えないと効果的な変化を生むことは出来ないからです。

保存するだけなら、時代に合わせることも、時代の変化に敏感になる必要も、考える必要はないです。
そのときのもの、そのときのものそのものを、保存するのが目的です。

喰ってゆくことが目的だとしたときに、手段を間違えない様にしたいと僕は思っています。

「保存すること、守ること」だけでは、「喰ってゆくことは出来ない」と、これまでの結果でもうすでに証明されています。
違う方法で、違う思考方法でアプローチしてゆくことに取り組んでゆかなければ、喰ってゆくことは出来ませんから。

 

では、ごきげんよう。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=osDwXdhZcjI&feature=youtu.be

2019年に大ヒットしたアニメ「鬼滅の刃」OPテーマ、LiSAさんが歌う「紅蓮華」です。

 

※今日のごはん写真
車移動の醍醐味といえば、高速道路のサービスエリアで食べるごはんですよね。
大阪に向かう途中に立ち寄ったときのラーメンです。
高速での移動中では、カロリーはそのスピードについてこれません。食後早めにサービスエリアを立ち去れば、カロリーをサービスエリアに置き去りにできるのでカロリーゼロです。

 

 

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